1967年、広島市南区東雲に手書きの看板工事として創業し、現在は内装全般の施工を手掛ける企業の新社屋プロジェクト。創業地から約700mほどの場所へ本社を移転するにあたり、地域に根差してきた企業の新しい拠点を計画した。

長く同じ地域で営みを続けてきたからこそ、社屋を「閉じた建物」ではなく、町や人々と緩やかにつながる場所を目指した。

1階には、建物を取り囲むよう3方向へロッジア状の半屋外空間を設けた。荷解きや搬出入、エントランス、待合、社員の休憩など、用途を限定しない余白として機能し、オフィスと町との間に中間領域をつくっている。企業活動の一部が町ににじみ出るような、開かれた空間を計画した。また、事業拡大やリクルーティングなど、これから変化していく組織に対応できることも新社屋に求められた。構造には木造ラーメン構造を採用、3100mmグリッドを基本とすることで、間仕切りやレイアウトを柔軟に変更できる平面構成としている。建物を、完成された機能に限定するのではなく、企業の成長に合わせて変化できるおおらかな器として計画した。

外周には大きなスチールサッシを規則的に配置した。細かな格子を持つスチールサッシは、建物に工業的な表情を与えるとともに、内装をはじめ多様な空間や素材を扱う「ものづくりの現場」としての企業の姿を表している。

また、一方でこの企業はさまざまなクライアントの内装を手掛ける集団でもある。そのため、特定のインテリアや建築様式を想起させる意匠には寄りすぎず、自由な価値観を受け入れるニュートラルな建築であることを意識した。

その中で、企業のアイデンティティを建築に与えるモチーフとして、「赤」を取り入れた。企業ロゴで使用されていた「赤」から建築の素材や佇まいに合わせ新たに採用した「赤」は、錆止め塗料やレンガといったクラフトマンシップの思いや、エイジングによって愛着や価値が高まる、長く愛されるものづくりへの思いを表現した。建築のために採用した赤は、その後建物の各所やサインへと展開され、企業の新しいCI /VIへとつながるストーリーが生まれた。

ニュートラルな建築の中に、スチールの格子と赤という二つの要素を置く。格子は「ものづくりの場」を表し、赤は普遍的な理念や企業の記憶を受け継ぎながら未来へと続くよう願いをこめて。

夜になると、四方の窓からこぼれる光が街にやわらかく浮かび上がる。昼間は開かれたオフィスとして、夜は街角に灯る行灯のような存在として、この地域に根付いていく。

この街で積み重ねてきた企業の営みと、その先に広がる大きな可能性をつなぎ、企業の成長とともに育っていく建築を目指した。

ure ユール

ユール

ure は、言葉にそっと寄り添い、
新しい意味や質感を与える「接尾辞」のように、
誰かや何かと結びつくことでその魅力や可能性を引き出す存在でありたいと考えています。

私たちは、共につくる仲間の一部として関わりながら、
新しいニュアンスや価値を発見し、
それを社会・生活・風景の中に優しく広げていくことを目指します。

ure takes its name from the concept of a suffix—an element that attaches itself to something else to create new meaning and quality.
Through collaboration with people and places, we reveal hidden possibilities and character.
Rather than leading from above, we work as one part of the team, discovering new nuances and values, and softly weaving them into society, daily life, and the surrounding landscape.

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